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相続手続に関するさまざまな事例のご紹介

遺産分割協議 事例06

 相続人は妻と亡夫の兄弟!

相談者
妻B
被相続人 A の遺産
(1) 不動産
(2) 預貯金等(20,000万円)
相続人
妻B、亡夫の兄弟C・Dの3名
問題点
(1) 遺言書なし。
(2) 亡夫A名義の不動産は先祖代々受け継がれてきた土地。

このケースの問題点

亡夫Aの兄弟から「亡夫A名義の不動産は先祖代々受け継がれてきた土地であり、お墓も仏壇も全てそこにある。先代の相続の時は、一応長男だからAに相続してもらったが、仮に妻Bが不動産を相続し、もし妻Bに不幸があったら不動産は妻Bの親族に相続されてしまう。」との言があった。

これは非常に難しい問題で、民法では土地・家屋は遺産相続の対象ですが、お墓や仏壇仏具等の祭祀については遺産ではないので極端な言い方をすれば放置することも可能なのです。
(墓地使用料等が必要な場合などは別途考慮が必要です。)

なので亡夫Aの兄弟から見れば、もし先祖代々の土地を妻Bの親族が相続した場合、通常祭祀は承継しないでしょうし、不動産は売却される方向で進む可能性を考えるでしょう。

お墓や仏壇仏具等の祭祀は、いくら放置は可能だからといってもなかなか放置できるものではないでしょうから結局亡夫Aの兄弟が承継する方向になるかもしれません。

表現方法は適切ではないかもしれませんが、結局『負担だけ』残ってしまう形になります。

一方、妻Bの親族から見れば、当然に相続すると言われる方もいるでしょうし、事情を理解してくれる方もいるでしょう。しかし、妻Bの遺産は、妻Bの相続人しか相続できません。
(遺言書を作成し、遺贈するというのも一つの方法ですが、書き直しができるため不安定ではあります。)

※この問題に限らず相続は、相続をする各個々人の思想・信条や現在の生活状況等にいたるまでの幅広く奥の深い背景等により大きく左右されます。
ですので、上記以外に様々な捉え方・考え方があることは申し添えておきます。

このケースの解決事例

【1】相続人全員の意見取りまとめ。
 ↓
【2】相続人全員と面談日時を決定。
 ↓
【3】面談当日遺産分割協議成立。
 ↓
【4】遺産分割協議の内容に沿って手続完了。
 ↓
【5】相続税の申告・納税完了。
 ※ 相続手続完了までの期間:約8カ月

相続人全員の意見を取りまとめ、最善と思われる方向性を検討し、事細かに様々な可能性をご説明し、結論として

(1)亡夫A名義の不動産は亡夫Aの兄弟が相続する。
(2)預貯金等は全て妻Bが相続する。
との遺産分割協議が成立した。

ポイント

今回は、家とお墓の問題が絡んだケースですが、どこにでもあり得るケースです。
祭祀の承継は、先祖を敬う日本人にとって大事なことであると思いますが、現在の民法では遺産と祭祀を切り離して考えられています。
戦前の家督相続と比較した場合どちらがよいかは分かりませんが、平等と物質的な面を捉えた現在の民法にはこういったケースの場合限界を感じます。
今回は次の相続対策もできたことで、お互い円満相続をすることができたのではないかと思います。