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相続手続に関するさまざまな事例のご紹介

相続の生前対策 事例23

 遺産承継のための養子縁組と遺言

相談者
A
Aの財産
Aの財産
(1)不動産
(2)預貯金(約1億円)
問題点
Aには、配偶者も子もない

このケースの問題点

相談者Aさんに、もしものことがあった場合、Aさんの相続人は兄弟姉妹(4名)となるケースです。
Aさん曰く、色々と面倒をみてくれた姪に、全ての遺産を残したいとの想いをもっておられました。
そのため、姪のために遺言書を作成することを考えていたが、遺言書を作成したらそのことで兄弟姉妹と姪が揉めないかと心配であるとのことである。

このケースの解決事例

【1】養子縁組の届出
(市区町村役場)
 ↓
【2】遺言書作成

 完了までの期間:およそ半月

今回は、たまたま姪が婚姻しておらず、姪の両親も養子縁組に賛成とのことであったため、養子縁組をすることになりました。 養子縁組をすれば法定相続人となり、相続人は姪の1名だけとなりますので、遺言書を作成しなくてもAさんの想いは実現できます。
しかし、それでも兄弟姉妹と姪が揉めることを気に掛けておられるので、遺言書も作成することとなりました。

ポイント

養子縁組をすると、プラスに作用することもあればマイナスに作用することもありますので
注意が必要です。
プラスに作用する例としては、養子縁組後、姪が住宅を建てる等の資金援助をAさんがすれば、
現行で1200万円の住宅取得等資金の非課税の特例が使えます。
非課税で財産を動かすことができるので相続の対策にもなります。

マイナスに作用する例としては、相続税のことを考えますと、法定相続人の人数が多ければ多いほど、控除の額が大きくなり、逆に法定相続人が少なくなればなるほど控除の額は減少します。
今回の例で言いますと、養子縁組したために、法定相続人が兄弟姉妹の5名から姪の1名になったので、相続税の控除額が次のようになります。
(※下記は現行法の控除であり、その他の控除等は考慮しておりません。)

養子縁組前:基礎控除5000万円 + 相続人5名×1000万円= 控除額10,000万円
養子縁組後:基礎控除5000万円 + 相続人1名×1000万円= 控除額 6,000万円

控除できる額が4,000万円も減ります。 生前の対策を考える際には知識と経験が必要です。
もし、ご自身で勉強されて実行する際には、できるだけ事前に専門家に相談だけでもされることをお勧めします。