遺言書で、市や寺社、公共事業、学校などに「寄付」をすることができます。
配偶者も子もなく、親兄弟もいない場合、相続する人が全くいない場合があります。
もし、お世話になった個人、福祉団体、市や県、供養をお願いするお寺などに財産を受取ってもらいたいという意思がある場合、その意思を遺言書に記しておかなければ、全て国庫に帰属することになるかもしれません。
寄付(贈与)をする遺書言を作成する場合の注意点
金銭であれば、その金銭を直接受け取ってもらえればよいですが、不動産の場合、受け取る側も慎重になることに注意が必要です。
不動産は、建物を建てるための敷地として使用する等の有効的な活用方法があればよいですが、有効活用の方法がない場合、売却して金銭に換価することになる場合が多いと思われます。
そこで出てくる問題としては、「売却できる不動産なのか?」「境界が確定しているか?」「売却によって得られる金銭の多寡」が重要になると思われます。
また、農地を贈与しようとする場合、贈与出来ない場合もあります。
まず、規制により新たな建物が建てられない不動産や境界が不明確または、境界について近隣と揉めているような不動産の場合、基本的に買い手がつきません。
その場合、「売りにくい不動産」ということで受け取ってくれないかもしれません。
そもそも売却できないような不動産は、誰も欲しくはないということです。
次に、売却できるような不動産であっても、売却して得られる金銭が著しく低いという場合、手間だけかかるので受け取らない場合も考えられます。
また、特定の農地を贈与する場合、農地法の許可が必要になる場合があり、この許可がおりなければ贈与できません。
贈与ができないのに遺言を作成すると後の混乱の種になるかもしれません。
これらをクリアするためには、まずはできるだけ財産を受け取る側と事前に相談をしておくことが重要となります。
事前に問題点がわかっていれば、対策を立てることも可能となるからです。
しかし、事情によりそこまで相談できない場合もあると思います。
その場合は、受け取ってくれるかどうかは不確定だが、受け取ってくれることを期待して遺言をすることになります。
(1)財産を受け取ってもらいたい個人や団体をキチンと特定する。
受け取ってもらいたい相手を特定しないと、その効力が生じない恐れがあります。
個人であれば、住所・氏名・生年月日などで特定し、団体であれば正式な団体名・所在地・代表者を特定する必要があります。
略称などで記載すると、他に該当する団体があるかもしれないため、明確に特定することが重要となります。
以上は最低限必要な事項です。
あとは、必要に応じて遺言執行者を選任したり、贈与する財産の使途について特にあればその使途についてのことを記載するなどし、意向を明確にしておきます。
各ご家庭・親族間の様々な問題を踏まえて、遺言についての適切なアドバイスも無料相談にて受付しておりますので、ご活用下さい。