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相続手続に関するさまざまな事例のご紹介

遺言による手続き 事例01

「自筆証書遺言の検認と遺言執行者の選任」事例

遺言書の文言ひとつで,相続の手続が大きく変わってくる・・・という事例です。

相続財産
(1) 不動産(A、B共有 A=9/10、B=1/10)
(2) 定期預金(300万円)
(3) 現金少々
相続人
母B、父Cの2名
問題点
(1) 自筆証書遺言はあるが、母Bに「全財産を贈与する。」とある。
(2) 父Cは音信不通。

このケースの問題点

不動産の名義変更をするためには、法務局で「登記手続」が必要です。
不動産の登記手続においては、「相続させる」であれば何の問題もなく、母Bが単独(一人)で手続きができたのですが、このケースのように「贈与する」ある場合、母Bは父Cと共同して申請する必要があります。
つまり、父Cを探し出し協力を求めなければならないのです。
しかし、母Bと父Cは離婚して以来、永年音信不通であり、協力を求めるのは非常に難しい状況でした。

このケースの解決事例

【1】「遺言書の検認」を行う。(検認の手続はおよそ1カ月前後を要する。)
 ↓
【2】検認の手続が完了後、「遺言執行者の選任」を申立てる。
 ↓
【3】不動産の名義変更手続、定期預金の手続完了。
 ※ 相続手続完了までの期間:約2カ月半

「遺言書の検認」を終えた後、遺言執行者選任の申立を行います。
もちろん、遺言執行者の候補者は母Bです。
母Bが、遺言執行者として選任されれば、父の協力なくして実質母B1人で手続ができます。

ちょっと難しいケースですが、相続登記を申請する際の登記の原因は「遺贈」となります。
また、このケースの実態は「相続」なので登録免許税(H22年現在)は、不動産の固定資産税評価額の1000分の4ですみます。
”相続人以外への遺贈”であれば、不動産の固定資産税評価額の1000分の20が必要です。
(ちなみに不動産の固定資産税評価額が1000万円とすれば登録免許税は20万円です)

遺言書は言葉の使い方ひとつでトラブルの原因に!

今回のケースは、遺言書があったので手続は比較的スムーズに行われました。
もし、遺言書がなければ父Cを探し出して協議をしなければならなかったので、大変な作業になったかもしれません。
遺言書は、書き方一つで困る原因になります。
専門家の目で確認してもらうことを強くお勧めします。