遺言書がないので、遺産分割協議になります。
当然相続人全員に協力を求めることとなるのですが、相続人の内の1名からは相続について協力しないとの言があったため、分割協議は行き詰まりました。
【1】戸籍を取得。
(相続人確定およそ1ヶ月。)
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【2】相続人全員に協力要請。
(相続人の内1名から協力を得られず。)
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【3】手続き先の金融機関と協議(およそ2ヶ月)
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【4】金融機関と協議の結果、協力を得られなかった相続人1名を除き、法定相続分を支払うことで手続完了。
相続手続完了までの期間:およそ6ヶ月
相続人の内の1名から、相続する・しないの回答ではなく、『関知しない』との言質があったことを受け、分割協議が行き詰まりました。
相続しないのならば、相続しない旨の承諾を取り付けることになるのですが、関知しないとなると相続する・しない以前の問題となります。
非常に難しい対応を迫られ依頼者共々苦慮しました。
ただ幸いしたのが、金融機関側が本件について前向きに取り組んで下さったことです。
結果的に、協力していただけない方の相続分については、その方からの申し出がない限り金融機関において継続して凍結することを条件として、協力いただけない方以外の相続人全員からの請求でもって、法定相続分相当額を各相続人に支払うこととなりました。
基本的に遺産分割協議が成立しなければ何もできません。
今回のケースもそうですが、配偶者・子・両親とがいなければ、遺言書を作成すべきです。
そうしておけばスムーズに手続きができることが多いのです。
今回処理できたポイントは2つあります。
一つ目は、通常の金融機関は、相続人全員の依頼に基づいて処理するのが原則ですが、そこを前向きに処理する手段を検討してくれたこと。
二つ目は、状況・経緯等について当センターが関与していることです。
相続人の内の誰か1名からでも、法定相続分について払い戻しの請求がある場合は応じなければならないことは判例等により金融機関側も知っており、当然当社も知っています。
しかし、そのことだけでは手続きに応じない金融機関はあります。
もし、正式に『手続きには応じない』と回答がでたとしたら金融機関相手に訴訟の検討をすることになってしまいます。
それら一切を踏まえた上で手続きに応じてもらうためには、『金融機関側のリスク』を極力軽減できる状況を作ってあげられるかどうかなのです。
そのためには、状況・経緯等を正確に客観的に捕らえることこそが重要であり、そのことに当センターの価値があるのです。