1. 生前の対策
お元気な内に、自分の死後のことを考えて相続の対策を立てられる方はまだまだ少ないように感じますが、平成27年の相続税の実質増税により相続税の対象者が増加することもあり、徐々に相続対策を考えようとする方々は増加しているように思えます。
この相続対策をする場合、一般的には遺言を作成し、財産の分配方法を決めたことで良しとする方、遺言作成と同時に判断能力が衰えた場合も考慮して成年後見制度(※HP「成年後見の申し立て」を参照)を任意に活用し、あわせて節税の対策等をする方など、万全を期す方もいらっしゃいます。
ご自身がお元気な内に相続対策ができる場合はいいと思いますが、効果ある相続対策を実行するのにはある程度の時間がかかります。
相続対策を検討中、または実行中に判断能力が衰えた場合、成年後見制度を検討することもあると思いますが、この成年後見制度を利用すると、能力が衰えた程度にもよりますが、遺言書作成、相続税の対策や資産運用(生前に贈与、不動産の買い換えや収益物件(アパート等)の建設、金融商品の購入、生命保険契約の締結等)は制限が加わりますし、本人の意思確認が全くできない状況下においては、もはや何もできなくなります。
成年後見制度の一つの限界です。
そこで、自身がお元気なうちから、資産の運用・処分方針等を決定した上で、信頼できる親族や第三者(信託会社)等と信託契約を締結することにより、信頼できる親族や第三者(信託会社)等を受託者として資産を預け、定めた一定の目的に従って管理・運用・処分し、財産や運用益を自身が受け取る又は親族(受益者)等あらかじめ定めた者に対して給付あるいは財産を引き渡すことで、目的を実現することができます。
これにより、成年後見制度では実現できなかった相続税対策・資産承継対策が、信託契約によって履行されていきますので、ご本人のお亡くなりになる直前まで講じることができるようになります。
次回は、別の具体例でどういった場面で活用できるのかを例示したいと思います。
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